INFO 防犯カメラの形状の違い|ドーム・タレット・バレットの特徴と選び方
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防犯カメラを選ぶとき画素数や夜間性能は比較されます。しかし形状については「ドーム型は目立たない」「バレット型は威圧感がある」という説明で終わることが多いのではないでしょうか。実際には形状によって変わるのは見た目だけではありません。夜間の映りかた、設置後の調整のしやすさ、使える取付方法。いずれも形状に由来します。
形状で変わるのは撮影方向が外から分かるかどうか、設置後に画角を調整しやすいかどうか、そして夜間に赤外線を使ったときの映りかたです。一方で形状だけでは決まらないこともあります。どこまで遠くを撮れるか、雨や洗浄水に耐えられるか、いたずらに耐えられるか。これらはレンズと等級で決まります。
この記事では形状ごとの違いと仕様表に書かれた等級の読み方について整理します。
■ 筐体の形状は大きく三つです
まず、選択肢の全体を確認します。防犯カメラの筐体の形状は、大きくドーム型、タレット型、バレット型の三つに分かれます。このほかにボックス型や小型のものもありますが、屋外や事業所での設置では、この三つが中心になります。
【タレット型は、国内の解説であまり扱われていません】
「ドーム型とバレット型の違い」を説明した記事は数多くありますが、タレット型まで含めて整理したものは多くありません。
タレット型はボールジョイントで角度を調整する形状です。アイボール型と呼ばれることもあります。半球状に見える点はドーム型と似ていますが決定的な違いがあります。ドームカバーがありません。
そして、この一点が次に述べる三つの違いを生みます。
■ ドームカバーの有無で三つ変わります
ここが、この記事でお伝えしたい中心的な点です。
【➀撮影方向が分かるかどうか】
ドーム型は半球状のカバーの内側にレンズがあります。外から見てどこを向いているかが分かりにくい構造です。これは防犯上、意味を持ちます。カメラの向きが分からなければ死角を探すことも難しくなります。タレット型とバレット型はレンズが露出しています。撮影方向が明確です。ただし、これは欠点とは限りません。「見られている」ことが相手に伝わるという意味では抑止の側面もあります。
見えにくいほうが防犯性能が高いという単純な話ではないということです。
なお、カメラの存在を相手に認識させることの意味については、別の記事で整理しています。
【➁画角を調整するときの手間】
設置後に画角を変えたくなることがあります。什器の配置が変わった、死角が見つかった、撮影範囲を広げたい。ドーム型の場合、画角を調整するにはドームカバーを開ける必要があります。タレット型は本体のリング部分を緩めるだけで向きを変えられます。
一度設置したら二度と触らないという現場であれば差は出ません。しかし、レイアウトが変わる施設や設置後の微調整が想定される場所ではこの差が効いてきます。
【③夜間の赤外線】
これが三つ目で見落とされやすい点です。暗い場所を撮影する際、多くのカメラは赤外線を照射します。このときドーム型ではレンズと同じカバーの内側から赤外線が出ることになります。照射した赤外線がカバーの内面で反射すると、映像が白っぽくかぶることがあります。いわゆるIR反射と呼ばれる現象です。
ドームカバーを持たないタレット型やバレット型ではこの現象は基本的に生じにくくなります。ドーム型でこれを防ぐにはレンズ周囲の遮光材が正しく装着されていること、カメラを極端に傾けないことなどが条件になります。設置時の作業精度に依存する部分があるということです。
夜間撮影を重視する屋外環境では、この点を考慮に入れる必要があります。
夜間の映りかたについては、別の記事で整理しています。
■ 形状ごとの特性
【ドーム型】
半球状のカバーを持つ形状です。撮影方向が分かりにくく、天井面に収まるため景観への影響が小さい。カバーが本体を覆うため、物理的な保護にもなります。天井面に設置しやすい形状ですが、機種によっては壁面や軒下への取り付けにも対応します。
屋内での使用が中心ですが、屋外対応のモデルもあります。形状と防水性能は別の話です。
【タレット型】
ボールジョイントで角度を調整する形状です。ドームカバーがないため画角調整がしやすく、赤外線の反射も生じにくい形状です。一方で撮影方向は外から分かります。こちらも天井面のほか、壁面に対応した機種があります。
【バレット型】
筒状の形状で一般に想像される防犯カメラの姿に近いものです。存在感があり、設置されていることが明確に伝わります。上部にサンシェード(日除け)を備えたものが一般的で直射日光や雨だれの影響を抑えられます。屋外設置を前提とした機種が多く、壁面やポールへの取り付けに適しています。本体に奥行きがあるため望遠寄りのレンズを搭載したモデルも選びやすい形状です。
ただし、形状そのものが遠距離の撮影性能を決めるわけではありません。どこまで写るかはレンズの焦点距離、解像度、赤外線の照射距離などによって決まります。
■ PTZとパノラマは形状とは別の分類です
ここで整理しておきたいことがあります。PTZとパノラマはドーム型やバレット型と並ぶ「形状」ではありません。PTZはカメラを動かす機構、パノラマは魚眼レンズを使った撮影の方式です。
見た目はドーム型に近いものもありますが、選ぶ基準が異なります。
【PTZ】
パン(左右)、チルト(上下)、ズームを遠隔で操作できるカメラです。1台で広い範囲を見渡せます。ただし、重要な制約があります。ある方向を向いている間、他の方向は撮影されていません。入口で検知した人物を追尾している間に、別の場所で何かが起きても記録は残りません。
このため広い範囲を常時記録したい場合は、固定カメラとの併用が有効です。全体を固定カメラで押さえ、必要に応じてPTZで詳細を確認するという構成になります。また、可動部があるため固定カメラに比べて機構部分の摩耗を考慮する必要があります。
【パノラマ(全方位)】
魚眼レンズを用い、1台で180度から360度をカバーします。天井の中央に設置すると空間全体を真上から見下ろす映像が記録できます。魚眼特有の歪みはデワープと呼ばれる補正処理によって通常の映像や複数の仮想的な視点として表示されます。
HIKVISIONの説明では、一般的な室内環境(天井高2.5〜3メートル、広さ30〜50平方メートル程度)であれば、1台で従来の3〜4台分をカバーできるケースが多いとされています。
■ パノラマカメラの制約
台数を減らせる方式ですがメーカー自身が制約も示しています。
【遠距離の解像度】
HIKVISIONの資料では天井高が高い場所だと魚眼レンズの特性上、遠距離の解像度が落ちることがあるとされています。
天井高が5メートル以上の場合は解像度の高いモデルを選ぶことが推奨されています。
【1台に依存すること】
1台で広範囲をカバーするということはその1台が止まれば全体が見えなくなるということでもあります。メーカーの資料でも故障時のリスクを考慮して、重要箇所には補助カメラの併用も検討するよう示されています。
【処理の負荷】
歪み補正の処理には負荷がかかるため、録画機器のスペック確認が必要とされています。補正をカメラ本体で行うモデルとレコーダーやソフトウェア側で行うモデルがあります。
【組み合わせるという考え方】
HIKVISIONはパノラマカメラとPTZカメラを組み合わせることで、全体を俯瞰しながら必要な箇所だけをズームする「概観と詳細」の二段構えが可能だとしています。これは、広い敷地を1台でカバーしようとすると検知しかできない映像になるという課題への対応でもあります。この点については別の記事でも触れています。
■ 等級の読み方
仕様表には「IP67」「IK10」といった表記があります。これらは形状とは別に確認すべき項目です。
【IP等級は防塵と防水を示します】
IEC 60529、国内ではJIS C 0920に相当する規格です。二つの数字で構成されます。第一数字は固形物に対する保護、第二数字は水に対する保護を示します。IP67であれば、防塵は6(粉塵の侵入を防ぐ)、防水は7(一時的な水没に耐える)という意味です。
【IP67はIP66の上位ではありません】
ここが誤解されやすい点です。第二数字の各等級はそれぞれ異なる試験に基づいています。等級6は強い噴流水に対する保護、等級7は一時的な水没に対する保護です。
噴流水と水没では、想定している状況が違います。IP67という表示が示すのは一時的な水没に耐えることであって強い噴流水に対する保護を保証するものではありません。数字が大きいから上位という関係にはなっていないということです。つまり、IP67だから高圧洗浄にも対応できるとは限りません。
洗浄が行われる環境では、IP66側の等級を確認する必要があります。両方の条件が重なる場合は複数の等級を併記した製品を選ぶか、実際の環境での確認が必要になります。
洗浄工程のある施設については別の記事でも触れています。
・食品工場の防犯カメラ、HACCPとフードディフェンスへの活用
【IK等級は衝撃への耐性を示します】
IEC 62262で規定された耐衝撃保護等級です。IK00からIK10までの段階があります。IK10は20ジュールの衝撃に耐えることを意味し、これは5キログラムの物体が40センチメートルの高さから落下した場合に相当します。IK09は同じ重さで20センチメートルです。
手が届く高さに設置する場合、いたずらや破壊を想定する必要があります。低い位置の壁面、駐輪場、通路、屋外の出入口付近。逆に高所に設置して人の手が届かない場所であれば等級を上げる必要性は下がります。なお、ドーム型はカバーによってレンズ周辺を保護しやすい形状ですが、実際の耐衝撃性能は形状ではなく製品ごとの等級で確認する必要があります。
【腐食については別の指標があります】
IP等級には、腐食に対する耐性が含まれていません。水が入らないことと金属が錆びないことは別の話です。
防水性能が高ければ屋外環境に完全に対応できるというわけではないということです。
沿岸部など腐食が問題になる環境については、別の記事で整理しています。
■ 形状だけでは決められません
ここまで形状の違いを見てきましたが、形状を決めても選定は終わりません。
【同じ形状でも写るものが変わります】
同じタレット型でも固定焦点のものと焦点距離を変えられるバリフォーカルのものでは撮影できる範囲が異なります。
同じバレット型でも広角寄りの機種と望遠寄りの機種があります。近くを広く撮るのか、遠くを詳細に撮るのかで選ぶレンズが変わります。
形状は選定条件の一つであって、画角や撮影距離まで決めるものではありません。
【判断の順序】
実務的には、次の順で絞り込むことになります。
1. 設置場所の条件を整理する(天井の有無、高さ、屋内外、夜間の照明、洗浄の有無)
2. 何を撮りたいかを決める(全体の把握か、特定箇所の詳細か)
3. 形状を選ぶ
4. レンズを選ぶ(固定焦点かバリフォーカルか、焦点距離)
5. 等級を確認する(IP、IK、必要に応じて耐食)
形状から入ると、条件に合わない選択をしてしまうことがあります。
■ よくある失敗
形状の選定でつまずきやすい点を挙げます。
【屋外だからバレット型と決めてしまう】
屋外にはバレット型という理解は傾向としては間違っていません。しかし、屋外対応のドーム型もタレット型もあります。
判断すべきは形状ではなく、IP等級と設置方法です。軒下に設置するのか、直接雨がかかるのか。壁面かポールか。ここから絞り込みます。
【IP67なら高圧洗浄にも耐えられると考える】
前述のとおりIP67という表示は一時的な水没に耐えることを示すもので、強い噴流水に対する保護を保証するものではありません。洗浄がある環境ではIP66側の表記があるかを確認する必要があります。
【ドーム型ならいたずらに強いと考える】
カバーがある分、構造的には有利な面があります。しかし実際の耐衝撃性能は製品ごとのIK等級で決まります。ドーム型でも等級の低い機種はあります。
【広角なら1台で全部撮れると考える】
広い範囲を1台でカバーしようとすると映ってはいるものの、人物が小さすぎて誰か分からない映像になることがあります。
全体を把握するためのカメラと詳細を確認するためのカメラは、分けて考える必要があります。
【設置後の調整を想定しない】
レイアウト変更や死角の発見は運用が始まってから出てきます。調整の可能性がある場所では画角を変えやすい形状を選んでおくと後が楽になります。
■ 設置場所から考える
形状を先に決めるのではなく、設置場所の条件から絞り込むほうが確実です。
【確認する項目】
天井があるか。手が届く高さか。夜間に赤外線を使うか。設置後に画角を変える可能性があるか。洗浄や高圧水がかかるか。
これらが決まれば、選べる形状は自然と絞られます。
【実際の傾向】
現場では天井のある屋内空間にはドーム型やタレット型、屋外の壁面やポールにはバレット型が選ばれることが多くなります。広い室内を1台で押さえたい場合はパノラマ、敷地全体を見渡したうえで必要な箇所を確認したい場合は固定カメラとPTZの組み合わせという形です。
ただし、これは典型例にすぎません。同じ「工場の出入口」でも天井の有無、設置高さ、夜間の照明、洗浄の有無によって適切な選択は変わります。
【取付方法と配線】
形状によって使える取付金具が変わります。そして、ケーブルを金具の内部に通せるか、壁や天井の裏側にスペースがあるか。これによって配線が外から見えるかどうかが決まります。配線が露出する場合は保護管に収めることになります。切断されるリスクを考えればこれは防犯上も必要な処置です。どの方法が可能かは建物の構造と選ぶ機種によって変わるため、現地を見ないと判断がつかない部分です。
【既存の設備がある場合】
入れ替えであれば既存の配線や取付金具を流用できる場合があります。この点については別の記事で整理しています。
・防犯カメラの入れ替えを検討するとき|既存配線を活かす方法と判断のポイント
形状の選択は見た目の好みで決めるものではありません。設置場所の条件が決まれば、選べる形状は自然と絞られます。
そして、絞り込んだあとに確認すべきなのがレンズと等級です。IP67と書いてあれば安心という読み方では、洗浄のある現場で想定外のことが起こります。
逆に言えば条件を整理して等級の意味を理解しておけば、機種の選定はそれほど難しくありません。カタログの数字が判断できる情報に変わります。防犯カメラは形状だけでなく、設置高さ、撮影したい距離、夜間の環境、雨や洗浄水の有無、既存の配線などを合わせて選ぶことになります。
株式会社ジェイセキュリティではHIKVISIONの正規販売代理店として機器のご提案から設置工事まで対応しております。防犯設備士が現地の状況を確認したうえで、設置場所に適した形状と仕様をご提案いたします。
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※記載の内容は一般的な整理です。実際に必要な仕様は、設置場所の環境、既存設備の有無などにより異なります。現地確認のうえ判断が必要です。
※搭載されている機能および対応する等級は機種により異なります。形状が同じでも仕様は異なるため、対応可否については個別にご確認ください。
※規格の内容は改定により変わる可能性があります。最新の情報は規格の原本または公表資料でご確認ください。
※記載の台数や範囲の目安は、メーカーが公表する一般的な条件下での例です。実際に必要な構成は、設置環境および撮影対象により変動します。
※IP等級は防塵および防水に関する指標であり、腐食に対する耐性を示すものではありません。

