INFO 防犯カメラが夜間に映らないのはなぜか|原因と対策の考え方
ページ情報
本文
「防犯カメラを設置したが、夜間の映像が使いものにならない」というご相談をいただくことがあります。
犯罪や事故は夜間にも起こります。むしろ、暗い時間帯こそ記録が必要な場面は多いといえます。それにもかかわらず、夜になると肝心なところが確認できない。これは防犯カメラの運用でよくある課題です。ただ、ひとくちに「夜間に映らない」といっても、実際の状態はさまざまです。原因が違えば、必要な対策も変わります。
この記事では、まず症状を切り分けたうえで、それぞれに対する考え方を整理します。
■ 「夜間に映らない」にはいくつかの状態がある
ご自身の現場がどれに当てはまるか、確認してみてください。
【A】そもそも何も映っていない、真っ暗である
光がまったく届いていない状態です。カメラの夜間撮影機能が働いていないか、対象までの距離が照射範囲を超えている可能性があります。
【B】映っているが白黒で、色が分からない
これは故障ではありません。多くの防犯カメラは、暗くなると白黒撮影に切り替わる仕様になっています。人の姿は確認できても、服の色や車の色は記録に残りません。
【C】光源の周りだけ明るく、肝心なところが見えない
街灯や車のヘッドライト、自動販売機などの光が入る場所で起こります。明るい部分に露出が合ってしまい、その周辺が暗く潰れる、あるいは光の部分が白く飛んでしまう状態です。
【D】近くは映るが、遠くがぼやける・暗い
照明や赤外線の光が届く範囲には限りがあります。手前は明るく写っても、奥は暗いまま、ということが起こります。
【E】映像全体がざらついて見にくい
暗い場所で映像を明るくしようとすると、ノイズが増えることがあります。
【F】人や車は映っているが、輪郭がぼやけて人相やナンバーが読み取れない
暗い場所では、光を十分に取り込むためにシャッターが開いている時間が長くなります。その間に対象が動くと、静止した被写体よりもブレが出やすくなります。歩いている人や走行中の車で起こりやすい症状です。
同じ「夜間に映らない」でも、AとCではまったく別の問題です。まずはどの状態なのかを確認することが出発点になります。
■ 夜間撮影の基本的な仕組み
カメラが映像を記録するには光が必要です。日中は太陽光がありますが、夜間はそれがありません。そこで、多くの防犯カメラは補助的な光を使います。
広く使われているのが赤外線(IR)による照射です。カメラ本体に赤外線ライトを備え、暗くなると自動的に点灯して対象を照らします。
赤外線は、多くの場合、人の目にはほとんど見えないとされています。そのため、周囲から見ると照明がついているようには見えず、まぶしさもありません。これは大きな利点です。ただし、暗闇の中で近くから見ると、わずかに光が確認できる場合もあります。見え方は製品によって差があります。
一方で、赤外線を使った撮影では映像が白黒になります。色の情報が失われるため、上記の【B】の状態になります。
つまり、白黒になるのは不具合ではなく、この方式の性質によるものです。
■ 夜間もカラーで撮る方法
色の情報を残したい場合、夜間もカラーで撮影できる技術があります。
HIKVISION製品のColorVu(カラービュー)はその一つです。レンズの絞りを大きく開けるF1.0という仕様と、高感度のイメージセンサーを組み合わせ、さらに必要に応じて白色光を用いることで、暗い環境でもカラーでの撮影を可能にしています。
新しいバージョンでは、夜間の動きによるブレを抑える機能も進んでいます。先に挙げた【F】のように人や車がブレて写る症状でお困りの場合、こうした技術も選択肢になります。
技術的な詳細については、メーカーの公開資料をご確認いただくのが確実です。
ここで押さえておきたいのは、赤外線とカラー撮影は優劣の関係ではなく、用途の違いだという点です。
■ 赤外線とカラー、どちらが適しているか
判断の分かれ目は、いくつかあります。
【色の情報が必要かどうか】
不審者の服装の色、車体の色。これらを記録に残したいのであれば、カラー撮影が有利です。人の出入りがあったという事実の記録だけで足りるなら、白黒でも用は足ります。
【光を出してよい場所かどうか】
白色光を用いる方式では、暗所で照明が点灯します。これは「見られている」という意識を与えるため、抑止効果として働く場面があります。
一方で、光を出したくない場面もあります。近隣の住宅に面している場所、就寝中の居室に光が入る位置、カメラの存在を意識させたくない場所などです。赤外線は人の目にほとんど見えないため、こうした場面では適しています。
【設置場所の明るさ】
街灯や外灯がある場所と、まったく光源のない場所とでは、条件が異なります。既存の照明をどう活かすかも含めて考える必要があります。
【対象までの距離】
補助光が届く範囲には限りがあります。対応可能な距離は機種によって異なりますので、設置位置と対象までの距離を踏まえて選定することになります。
■ 画素数を上げても解決しない場合がある
「夜間の映像が不鮮明だから、もっと高画素のカメラにすればよい」と考えられることがあります。
しかし、夜間の課題が明るさに起因している場合、それは画素数とは別の軸の話になります。光が足りていない状況では、画素数を上げても、そこに記録される情報が増えるとは限りません。
画素数の考え方については、別の記事で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
・防犯カメラの画素数はどう選ぶか|数字だけでは決まらない「見え方」の話
夜間の課題については、まず明るさの条件から検討することをおすすめします。
■ 設置後に注意しておきたいこと
夜間撮影は、設置した時点では問題なくても、時間の経過とともに状態が変わることがあります。
【虫や蜘蛛の巣による影響】
赤外線には虫が集まりやすい性質があります。その虫を目当てに蜘蛛が寄ってきて、カメラの周辺に巣を作ることがあります。巣がレンズや赤外線ライトの近くに張られると、光がその糸に反射し、映像が白く飛んでしまうことがあります。屋外に設置したカメラでは、定期的な清掃や点検が必要になります。
【ガラス越しに屋外を撮影する場合】
室内から窓ガラス越しに屋外を撮影すると、赤外線がガラスの表面で反射し、映像が白く飛んでしまうことがあります。この場合、カメラの角度や設置位置を調整しても改善しないことがあり、屋外に直接設置する方が有効な場合があります。窓の外を撮影したい場合は、この点も踏まえて設置場所を検討することをおすすめします。
■ 検討にあたって確認しておきたいこと
夜間撮影の相談をいただく際、次の点をうかがっています。
【1】現在どの状態か
先に挙げたA〜Fのどれに当てはまるか。既存のカメラがある場合は、実際の夜間映像を確認できると判断が早くなります。
【2】設置場所に照明があるか
街灯、外灯、看板の光など。周囲の光源の有無で条件が変わります。
【3】何を記録したいのか
人の出入りの記録なのか、服装や車体の色なのか、人相やナンバーなのか。求める水準によって構成が変わります。
【4】光を出してよい場所か
近隣への影響、建物の用途、時間帯による制約など。
【5】対象までの距離
カメラの設置位置から、記録したい対象までのおおよその距離。
夜間の映像が使えないという課題は、機器の性能だけで決まるものではありません。設置場所の明るさ、対象までの距離、周囲の光源、そして何を記録したいのか。これらの条件によって、適した構成は変わります。
「高性能なカメラに替えれば解決する」と考える前に、現在どのような状態なのかを確認することをおすすめします。原因が特定できれば、対策は絞り込めます。
株式会社ジェイセキュリティでは、現地調査のうえ、夜間の条件を踏まえた構成をご提案しております。既存のカメラで夜間の映像にお困りの場合も、まずはご相談ください。
■お問い合わせはこちら
※記載の症状と原因の対応は一般的な整理です。実際の原因は、機器の仕様、設定、設置環境、経年による劣化などにより異なります。現地確認のうえ判断が必要です。
※搭載されている機能は機種により異なります。夜間撮影の方式および対応可否については個別にご確認ください。
※ColorVuの技術的な仕様および対応機種については、メーカーの公開資料をご確認ください。
※補助光の到達距離、対応可能な照度は、機種および設置環境により異なります。

