INFO 防犯カメラの録画は何日残すべきか|保存期間の決め方
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録画映像は何日分残せばいいのか」——防犯カメラの導入時、意外と後回しにされがちな検討事項です。
しかし、いざトラブルが起きたときに「その日の映像はもう消えていた」となれば、カメラを設置した意味が半減します。今回は、法人施設における録画保存期間の決め方を、実務的な観点から整理します。
■ 保存期間を決める基準は「発覚までの時間」
法律上、防犯カメラの映像を「何日間保存しなければならない」という規定はありません。保存期間は、設置者が目的に応じて判断することになります。
では、どう判断すればよいのか。基準となる考え方はシンプルです。
問題が発生してから、それに気づくまでにどのくらいの時間がかかるか。
この時間を遡って確認できる日数が、その現場にとって必要な保存期間です。
例えば、店舗のレジ周りであれば、金銭の不一致はその日のうちに判明することがほとんどです。一方、倉庫の在庫が合わないことに気づくのは、棚卸しのタイミングかもしれません。月次で棚卸しをしている現場なら、1か月前まで遡れなければ意味がありません。
同様に、以下のようなケースでは、発覚までに時間がかかる傾向があります。
・長期休暇明けに、休暇中の異常に気づく
・取引先からのクレームで、数週間前の出荷ミスが判明する
・定期点検で、いつ発生したか分からない設備の破損が見つかる
・従業員からの相談を受けて、過去に遡って状況を確認する必要が生じる
「うちの業務では、異常に気づくまでにどのくらいのタイムラグがあるか」——これを考えることが、保存期間を決める出発点になります。
■ 業種・施設ごとの一般的な目安
実務上、業界慣行として用いられている目安は次のとおりです。あくまで参考値であり、上記の「発覚までの時間」を踏まえて調整することが前提です。
・店舗・商業施設:2週間〜1か月程度
・オフィス・事務所:2週間〜1か月程度
・マンション・集合住宅:1か月〜3か月程度
・工場・倉庫:1か月〜3か月程度
・金融機関など、高いセキュリティが求められる施設:半年〜1年、あるいはそれ以上
特殊なケースとして、食品工場のように、出荷した商品の消費期限に合わせて1年以上の長期保存を行う現場もあります。製造・出荷時の状況を、商品が市場に出ている間ずっと遡れるようにしておく、という考え方です。このように、必要な保存期間は業種によって大きく異なります。「一般的には1か月」といった一律の基準で決めるものではありません。
■ 保存日数を左右する4つの要素
必要な日数が決まったら、次はそれを実現できる構成を考えます。保存日数は、主に次の4つで決まります。
・記録媒体の容量:HDDの容量が大きいほど、保存できる日数は長くなります
・カメラの台数:同じHDDでも、接続台数が増えれば1台あたりに割ける容量は減ります
・画質(解像度):フルHDと4Kを比べれば分かるように、解像度が高いほどデータ量は増え、保存日数は短くなります
・録画方式:24時間の常時録画か、動きを検知したときだけ記録する動体検知録画か
■ 実際の目安:HDD容量と台数で何日残せるか
具体的なイメージを持っていただくため、一例を挙げます。600万画素カメラを、H.265という圧縮方式で常時録画した場合の目安です。
【1TBの場合】カメラ1台で約36日/2台で約18日/4台で約9日
【2TBの場合】カメラ1台で約72日/2台で約36日/4台で約18日
【3TBの場合】カメラ1台で約108日/2台で約54日/4台で約27日
【4TBの場合】カメラ1台で約144日/2台で約72日/4台で約36日
ここから分かるのは、台数の影響の大きさです。「4台で1か月保存したい」場合、4TB程度の容量が必要になります。同じ4TBでも、カメラが1台なら約144日、4台なら約36日と、保存日数は4分の1になります。後からカメラを増設する際、容量の見直しをしないまま台数だけ増やすと、保存日数が想定より大幅に短くなります。増設を検討する際は、容量とセットで考える必要があります。
なお、上記はあくまで理論値です。動きの激しい場所や、明るさが大きく変化する環境では、データ量が増えて録画時間は短くなります。
■ 圧縮方式による違い
上記の目安は「H.265」という映像圧縮方式を前提としています。これは比較的新しい方式で、従来の圧縮方式と比べておよそ2倍の圧縮率を実現しており、同じ画質でもデータ量を抑えられます。
古い機器を使い続けている場合、機器の更新によって保存日数が伸びるケースがあるのは、この圧縮技術の進化によるものです。既存システムの保存日数に不満がある場合、HDDの増設だけでなく、レコーダーの更新も選択肢に入ります。
■ 録画方式は3種類、カメラごとに設定できます
保存日数に大きく影響するのが録画方式です。主に3つの設定があり、多くの機種では、カメラごとに個別に設定できます。
・常時録画
24時間、常に録画し続ける設定です。取り逃しがなく、細かい設定も不要ですが、データ量が増えるため長期保存には不向きです。この方式を選ぶ場合は、大容量のHDDを併せて検討することになります。
・動体検知録画
映像に動きがあったときだけ録画する設定です。無駄な録画を減らせるため、同じ容量でもより長い期間を残せます。多くの機種には、動き出しの数秒前から記録する機能があり、「動き始めが映っていない」という事態を防げます。
・曜日時間指定録画
あらかじめ決めた曜日・時間帯だけ録画する設定です。夜間や休日の事務所・店舗など、無人になる時間帯の監視に向いています。営業時間と非営業時間で運用を分けたい場合に有効です。
重要なのは、これらをカメラごとに使い分けられるという点です。出入口は常時録画、倉庫の奥は動体検知、事務所内は夜間のみ——といったように、場所ごとの目的に応じて設定を変えることで、必要な映像を確保しつつ、容量を効率的に使えます。
■ 画質と保存日数、どちらを優先するか
保存日数を延ばす手段として、画質を下げる、フレームレートを下げるといった方法があります。ただし、これらは慎重に判断すべきです。画質を落とせば保存日数は延びますが、いざというときに人物やナンバープレートが判別できない映像では、証跡として機能しません。「長く残っているが、使えない映像」になっては本末転倒です。
現実的には、次のような考え方で優先順位をつけることになります。
・人物の識別が必要な場所(出入口、レジ周りなど)は画質を優先し、必要な日数はHDD容量で確保する
・全体の状況把握が目的の場所(敷地全体、駐車場など)は、画質を抑えて日数を稼ぐ余地がある
すべてのカメラを同じ設定にする必要はありません。設置場所ごとに目的が違う以上、設定も変えて構いません。
■ 保存期間を過ぎた映像はどうなるのか
多くの録画機には、自動上書き機能が搭載されています。HDDの容量が一杯になると、最も古い映像から自動的に削除され、新しい映像で上書きされていく仕組みです。この機能があるおかげで、容量が一杯になって録画が止まる(=撮り逃す)という事態は防げます。一方で、上書きされた映像は基本的に復元できません。「あの日の映像を見たい」と思ったときには既に消えていた、ということが起こり得ます。
だからこそ、次の運用が重要になります。
■ 「消えてしまった」を防ぐための運用
技術的な設定に加えて、日常の運用でできることがあります。
・重要な映像は、その都度バックアップを取る
トラブルが発生した際は、保存期間の経過を待たず、該当部分の映像を別媒体に書き出しておきます。多くの機種では、USBメモリーへのバックアップに対応しており、証拠として提出する必要が生じた場合にも、そのまま渡せる形で保存できます。
・定期的に、実際に遡って再生してみる
「1か月保存の設定になっている」ことと、「実際に1か月前の映像が再生できる」ことは別問題です。設定ミスやHDDの不調で、想定より短い期間しか残っていないケースもあります。3〜6か月に一度は、実際に古い日付の映像を再生して確認することをおすすめします。
・映像の取り扱いルールを決めておく
誰が映像を確認できるのか、外部に提供する場合の手続きはどうするのか。こうしたルールを整理しておくと、いざというときに慌てずに済みます。特に複数の担当者が関わる現場では、事前の取り決めが重要です。
■ HDDは「防犯カメラ用」を選ぶ
保存期間を語るうえで、記録媒体そのものの選定にも触れておきます。
防犯カメラの録画機は、24時間365日、休みなく書き込みを続けます。これは一般的なパソコンの使い方とは負荷の性質が大きく異なります。
そのため、防犯カメラ用として設計されたHDDが存在します。常時稼働による発熱や振動に耐える構造になっており、長時間の連続書き込みを前提とした設計です。一般的なPC用HDDを流用すると、想定より早く不具合が出る可能性があります。保存日数を長く設定するほど、HDDへの書き込み量は増えます。長期保存を前提とする場合は、媒体の選定も含めて検討することをおすすめします。
■ 保存期間を設定する際の注意点
保存日数を決める際、あわせて押さえておきたい点があります。
防犯カメラの映像は、人物が識別できる形で記録されていれば、個人情報保護法上の「個人情報」に該当します。同法では、個人データを利用する必要がなくなったときは、遅滞なく消去するよう努めることが求められています。
これは「長期保存が禁止されている」という意味ではありません。金融機関や食品工場のように、業務上の明確な必要性があって長期保存する運用は、当然に成立します。問題になるのは、目的が定まらないまま、漫然と保存し続けるケースです。「なぜこの日数なのか」を説明できる状態にしておくこと、そして保存している映像へのアクセス管理を適切に行うことが、実務上の要点になります。
なお、公共施設や自治体が関わる設置については、各自治体がガイドラインで保存期間の上限を定めている場合があります。該当する場合は、まずそちらの確認が必要です。
■ 保存期間は、設計段階で決めるもの
保存日数は、機器を設置した後から「もっと長くしたい」と思っても、容量が足りなければ実現できません。カメラの台数、画質、録画方式、HDD容量——これらは相互に関係しているため、導入時にまとめて設計する必要があります。「何日分残したいか」を先に決めておけば、それを満たす構成を逆算できます。逆に、この検討を飛ばして機器を選ぶと、後から「思ったより短かった」となりがちです。
当社では、機器のご提案から設置工事まで対応しており、必要な保存日数を踏まえた構成のご相談も承っています。「自社の場合、何日くらい必要なのか分からない」という段階からでも、業務の実態をお伺いした上でご提案が可能です。
■ より詳しい内容・お見積りはこちら
防犯カメラの機器ご提案を含めた設置工事サービスの詳細については、
専用ページにて詳しくご案内しております。
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※記載の保存期間の目安は、業界で一般的に用いられている参考値です。適切な保存期間は、設置目的・業種・運用方針により異なります。
※記載の録画日数は、600万画素カメラ・H.265圧縮・常時録画設定における理論値です。録画設定や撮影環境(動きの多さ、明るさの変化等)により、実際の録画時間は短くなる場合があります。あくまで目安としてご参照ください。
※実際に保存できる日数は、機器の仕様、カメラ台数、画質設定、録画方式、撮影環境により大きく変動します。
※搭載されている機能(自動上書き、USBバックアップ、曜日時間指定録画等)は機種により異なります。対応可否は個別にご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断を示すものではありません。運用ルールの策定にあたっては、必要に応じて専門家にご確認ください。

