INFO 駐車場・コインパーキングの防犯カメラ、よくある課題とその解決策
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駐車場は、防犯カメラを設置する場所として特殊な条件が揃っています。
管理する人が常駐していないこと。屋外にあり、夜間はいちばん暗くなること。そして、そこに置かれているのが高額な財産だということ。この記事では、駐車場・コインパーキングでよく挙がる課題を整理し、それぞれどう考えるとよいかをまとめます。
なお、この記事は事業として運営する駐車場と、施設に併設された駐車場を想定しています。
■ 駐車場で起きていること
【車上ねらいの発生場所】
大阪府警の公表資料によると、令和7年中の大阪府における車上ねらいの認知件数は3,137件で、前年より73件増加しました。被害の約33%が駐車場や駐輪場で発生しており、被害品はバッグ・財布類が最も多いとされています。
一つの府県の数字ではありますが、駐車場が被害の発生場所として一定の割合を占めていることは読み取れます。
【管理する人がいない時間帯】
コインパーキングや月極駐車場は、そもそも人が常駐していません。施設に併設された駐車場も、営業時間外は無人になります。
つまり、被害が起きやすい時間帯と、人の目がない時間帯が完全に重なります。何かが起きたときに「その時間、誰がいたか」を答えられるかどうかは、記録が残っているかどうかだけで決まります。
【ロック板による管理の限界】
現在も多くの駐車場では、ロック板(フラップ)による管理が行われています。この方式には、機器のトラブルによる接触事故や、料金を支払わずに出庫した利用者を追跡できないという課題があることが、複数のメーカー資料で指摘されています。
物理的に車を止める仕組みは、直感的で分かりやすい一方、機器が動く以上は故障もしますし、乗り越えられれば追う手段がありません。
■ 照度とカメラの関係
駐車場のカメラでよく起きるのが、「映ってはいるが、誰なのか分からない」という状態です。その原因は照度にあることが少なくありません。
【地面の明るさと、顔の明るさは違います】
防犯の観点から、駐車場の照明には目安となる基準があります。しかし、ここに実務上の落とし穴があります。
栃木県が公表している防犯カメラ設置ガイドでは、要綱で定められている照度基準は水平面照度、つまり地面や床面の明るさであり、鉛直面照度、つまり地面から1.5メートルほどの高さの明るさとは異なる、と注意を促しています。
照らしているのは地面です。しかし、カメラで確認したいのは、その上にある人の顔や、車のナンバーです。照度基準を満たしている駐車場でも、カメラでは判別できない、という状態が構造的に起こります。
同ガイドでは、屋外の暗所や夜間に防犯カメラで撮影する場合、人物の顔が確認できるようにするためには、地面から1.5メートル付近で0.5ルクス以下の最低被写体照度が必要とされています。
【カラーで撮るか、白黒で撮るか】
暗い場所での撮影方式には、大きく分けて二つあります。赤外線を照射して白黒で撮る方式と、わずかな光があればカラーのまま撮れる方式です。この違いは、駐車場では特に大きく効きます。何色の服を着ていたか、何色の車だったか。これらは白黒の映像では分かりません。後から人や車を特定したい場合、カラーで残っているかどうかが決定的な差になります。
一方、ナンバープレートの読み取りに特化するのであれば、赤外線による白黒撮影のほうが適している場面もあります。目的によって選ぶ方式が変わる、というのが実態です。
【ヘッドライトによる白飛び】
夜間の駐車場には、もう一つ特有の問題があります。車のヘッドライトです。
カメラに向かって進入してくる車のライトは、映像を白く飛ばします。ナンバープレートを読み取ろうとしているのに、光源そのものがすぐ横にある、という条件です。車番認証に対応したカメラには、この反射を抑える仕組みを備えたものがあり、ハイビームの状態でも夜間の画像品質を保てるとされています。
【照明を足すか、カメラで対応するか】
以上を踏まえると、選択肢は二つです。照明を追加して現場を明るくするか、暗い条件でも撮れるカメラを選ぶか。
照明の追加は、防犯上の抑止効果も期待できる一方、電源工事が必要になり、近隣への光害にも配慮が要ります。カメラ側で対応する場合は工事の範囲が小さくて済みますが、機種の選定がそのまま結果を左右します。現地の状況を見ないと、どちらが適切かは決まりません。
■ 駐車場のタイプ別に考える
一口に駐車場といっても、構造によって課題が変わります。
【平面駐車場・コインパーキング】
見通しが利く一方、敷地が広く、外周から誰でも入れます。カメラを1台で全体をカバーしようとすると、映ってはいるが判別できない映像になりがちです。出入口と車路という、必ず通る場所を優先して押さえるほうが、結果的に台数を抑えられます。
夜間は照明が限られるため、前章の照度の問題がそのまま出ます。
【自走式立体駐車場】
各フロアが独立した空間になり、死角が増えます。柱が多く、車の陰が生まれやすい構造です。
一方で、屋内であるためカメラの設置自体は屋外より容易です。既存の照明があることも多く、電源も確保しやすい傾向があります。空きスペースの検出や誘導表示と組み合わせる例もあります。
【機械式立体駐車場】
ここには、他のタイプにない事情があります。
国土交通省が策定した機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドラインでは、垂直循環方式やエレベータ方式などの大型装置について、利用者が操作位置からも乗降室内の安全を確認できるモニター等を設置することが求められています。
背景には、実際に起きた事故があります。同ガイドラインの手引きによると、屋外に設置された機械式駐車装置で、夜間に利用者が入庫操作を行ったところ装置が異常停止し、搬器と車路の間に挟まれた被災者が発見された事故がありました。周囲のブロック塀を乗り越えて外部者が侵入したと推定されており、あわせて、装置の内部が暗く、操作盤の位置から被災者を視認することが困難であった可能性も指摘されています。
これを受けて、同ガイドラインでは設置者に対し、夜間使用される装置や屋内・地下に設置される装置については、装置内の視認性を確保するため照明設備を設置することが求められています。
つまり機械式駐車場では、カメラと照明は防犯のためだけのものではありません。装置を動かす前に人がいないことを確認する、という安全確保の手段でもあります。同手引きには、カメラやモニターが設置されていない装置と設置されている装置を比較し、後者は装置内の無人確認が容易であるとする記載もあります。
■ カメラの機能で何ができるか
駐車場は、カメラの機能を活かしやすい環境です。人がいない時間が長く、対象が車という判別しやすいものだからです。
【ナンバーを読み取って記録する】
車両番号を事前に登録してリスト分けしておくことで、特定の車両に対して案内やアラートを出せます。認証した車番に基づき、あらかじめ設定したルールで入場を自動的に判定し、未登録車両を検知して知らせる、という運用も可能です。
チケットレスでの運用や、精算機と連携しての運用もできます。出入口での停車時間が短くなるため、渋滞やトラブルの緩和につながります。
料金を支払わずに出庫した車両についても、ナンバーの記録があれば追跡の手がかりになります。ロック板による物理的な規制がなくても、記録が残るという形での抑止です。
【滞在時間から分かること】
入場した時刻と退場した時刻が自動的に記録されるため、車両ごとの滞在時間が分かります。
長時間駐車している車両の特定、時間帯別の混雑状況、利用の頻度。これらは、これまで担当者の感覚で語られてきた部分です。記録が数字として残れば、料金体系の見直しや、混雑時間帯の運用を検討する材料になります。
【車と人を区別する】
ゲートを設ける場合、バーの降下による事故が懸念点になります。車両検知のセンサーには、車と人間を区別して車だけを検知するものがあり、バーの降下による事故を防ぐ目的で使われます。
映像側でも、対象が人か車かを判別できる機能があります。屋外のカメラは、風で揺れる草木や小動物にも反応しがちですが、人が入ったときだけ通知する、といった設定にすれば、誤報を減らせます。
【空きスペースの検出】
駐車スペースの満空状況をカメラで判定し、表示灯やサイネージで案内する仕組みもあります。利用者が場内を回遊する時間が減るため、出入口の渋滞緩和にもつながります。
この仕組みで設置したカメラは、当然ながら場内の映像も記録します。誘導のために入れた設備が、そのまま防犯の役割も果たす形になります。
【複数拠点の管理】
複数の駐車場を運営している場合、それぞれの映像を別々に確認するのは負担になります。離れた場所から状況を確認する仕組みについては、別の記事で整理しています。
車番認識の実務については、別の記事で詳しく整理しています。
・「誰の車が、いつ入ったか分からない」を解決する|構内車両管理の実務と記録の残し方
■ 当社が扱うシステムについて
ジェイセキュリティでは、防犯カメラの設置工事とあわせて、ナンバープレート認識システムのご提案・設置に対応しています。
【解析専用の機材を必要としない構成】
認識ソフトをカメラ本体に搭載しているため、撮影した段階で車両の検知・検証・認証まで行えます。解析専用の機材や管理用PCを別途用意する必要がないため、システム全体の構成をシンプルにできます。
【夜間や悪天候への対応】
内蔵の赤外線ライトにより、外灯の少ない夜間でもナンバープレートの認識が可能です。雨天の夜や、図柄入りナンバープレートにも対応しています。
【構成の組み合わせ】
用途に応じて、いくつかの構成をご用意しています。
・カラービューカメラとPTZカメラを組み合わせた構成(夜間もフルカラーで撮影したい場合)
・車番認証カメラとPTZカメラを組み合わせた構成(特定の車両の出入りを管理したい場合)
・AIカメラとAI NVRによる構成(大規模な施設や、不特定多数の出入りに対応する場合)
既存の防犯カメラ管理ソフトウェアと連携させることで、収集したデータを一元的に管理することもできます。
【対応できないもの】
バイク、軍用車、大使館などのナンバープレートには対応していません。二輪を扱う駐車場では、この点を前提に設計する必要があります。
また、精算機やゲートを含む駐車場運営システム全体をお求めの場合は、駐車場システムの専門メーカーの領域になります。当社が対応するのは、防犯カメラを軸とした構成と、それに連携する車番認識です。
■ 機器選定と台数の考え方
【画素数は「何をどこまで確認したいか」から決める】
カメラの性能を語るとき、画素数だけが取り上げられがちです。しかし同じ画素数のカメラでも、広い範囲を撮れば対象1つあたりに割ける情報量は減り、狭い範囲を撮れば増えます。画素数だけでは、実際に何が確認できるかは決まりません。
これを整理した国際的な指標として、DORIと呼ばれる考え方があります。映像上で1メートルの幅を何ピクセルで表現できているかを基準に、確認できる内容を4段階に分けたものです。
・検知(人や車両が存在するかどうかが分かる)
・観察(衣服など、その人の特徴的な様子が分かる)
・識別(以前に見た人物と同じかどうかを高い確度で判断できる)
・特定(個人を特定できる)
駐車場全体を1台でカバーしようとすると、映ってはいるが検知しかできない映像になります。全体を押さえるカメラと、出入口など必ず通る地点を押さえるカメラを分けるのが現実的です。
【屋外設置に伴う配線と電源】
駐車場は、建物から離れた位置にカメラを設置することになります。既存の照明用ポールや看板の支柱を利用できるか、電源をどこから取るか、配線をどう保護するか。これらが費用と工期を左右します。
図面だけでは判断がつきにくく、現地を見たうえでないと確定できない部分です。
【既存設備からの更新】
すでにカメラが入っている場合、既存の配線を流用できることがあります。台数を増やしたい、夜間の映りを改善したい、車番認識を追加したいといった目的であれば、すべてを引き直さずに済む可能性があります。
既存の駐車場への後付けについては、メーカー資料でも、レイアウトや既存設備の状況によって対応できる範囲が変わるため、事前の現地調査が重要とされています。
【録画期間】
録画をどれだけ遡って確認できるかは、カメラの台数、画素数、録画の設定、保存装置の容量で決まります。
駐車場では、被害の申し出が後日になることがあります。車上ねらいに気づくのは、車に戻ったときではなく、翌日以降ということもあります。何日前まで遡って確認できる必要があるかを先に決めて、そこから構成を逆算するのが現実的です。
【台数の考え方】
目安として、次のような段階で考えることができます。
・出入口を押さえる:最小構成です。敷地に入る車両と人という、必ず通る地点から押さえます
・出入口と車路、精算機周りを押さえる:場内の動線と、現金を扱う設備を加えます
・場内全体と複数拠点をカバーする:区画ごとの状況を記録したい場合や、複数の駐車場を運営している場合は、台数が増え、拠点をまたいだ一元管理も検討対象になります
どの段階が適切かは、敷地の広さ、駐車台数、何を優先したいかによって変わります。現地を確認したうえで、動線と工程を踏まえて設計するのが基本的な進め方になります。
■ おわりに
駐車場の防犯カメラは、台数と設置場所だけの問題ではありません。
夜間にどう映るか。何色の服だったか、何色の車だったかまで分かるか。ナンバーは読めるか。装置の中に人が残っていないことを確認できるか。駐車場という環境では、これらが設計の中心にあります。
まずは自社の駐車場にとって何が課題なのかを整理し、そのうえでどこにどんな機能が必要かを検討することをおすすめします。
株式会社ジェイセキュリティでは、防犯設備士が現地の状況をうかがったうえで、動線や運用に配慮した構成をご提案しております。駐車場・コインパーキングの防犯カメラについてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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※記載の課題と対応の考え方は一般的な整理です。実際に必要な構成は、施設の規模、業態、既存設備の有無などにより異なります。現地確認のうえ判断が必要です。
※統計は各都道府県警察の公表資料に基づく参考値です。集計時点・対象地域により数値は変動します。
※照度に関する基準および数値は、自治体が公表する防犯カメラ設置ガイドに基づくものです。実際に必要な照度は、設置環境および機種により異なります。
※法令、ガイドラインおよび指針の内容は改定により変わる可能性があります。最新の情報は所管官庁の公表資料でご確認ください。
※搭載されている検知機能などは機種により異なります。対応可否については個別にご確認ください。
※AIによる検知機能の精度は、設置環境、設置高さ、角度、照明条件などにより変動し、誤検知や未検知が生じる場合があります。人による確認を代替するものではありません。
※ナンバー読み取りの精度および対応可否は、設置条件、車両の速度、ナンバープレートの状態などにより変動します。導入をご検討の際は個別にご確認ください。
※DORIは国際規格IEC/EN 62676-4に基づく指標です。実際に確認できる内容は、被写体までの距離、レンズの画角、照明条件などにより変動します。
※配線可能距離、費用、対応可能な解像度は、機器の仕様および現場の状況により異なります。
※既存配線を流用できるかどうかは、配線の種類や状態、既存機器の仕様により異なります。現地確認が必要です。
※録画期間の目安は一般的な設計例です。必要な保存容量は、台数、画素数、録画設定により変動します。

